2015/2/3

オリンピック・レガシーって何?

~Tokyo2020の未来を考える~ vol.2

今までのレガシーと

Tokyo2020のレガシー

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*vol.1「オリンピック・レガシーって何?」の記事はこちら

*当日配布資料こちら

 

<Tokyo2020の未来を考える>
①今までの「レガシー」とは?

原田尚幸氏(以下、H):ここまで「レガシー」に関するご説明を受けまして、2020年大会のレガシーという、いよいよ今日の主題に入っていきます。東京大会での「レガシー」は、すでに決まっているのでしょうか。

 

間野義之氏(以下、M):来年2月に東京大会の基本計画をIOCへ提出します。それまでに間に合うよう設計しているところです。

 

H:先ほど「招致の段階でその活動の中に『レガシー』を盛り込む」というお話がありましたが、未だ明確に位置づけられていないということでしょうか。

 

M:はい。立候補ファイルにも、「レガシー」というものは書き込まれていますが、スポーツに付随するようなものが多くなっています。組織委員会あるいは東京都、文部科学省も含めて、スポーツだけの「レガシー」では小さ過ぎると考えています。人口減少、少子高齢が進行している中、日本が抱えている課題を2020年までに解決できるようなレガシープランを作ろうという方向になっています。組織委員会というのはオリンピックが終わったら解散してしまうので、大会が終わった後にも責任を持てるようにレガシー委員会をつくるということが決まっています。ただ、それをつくる準備にはまだ入れていません。

 

H:なるほど。そもそもなぜ2回目の東京オリンピックを開催するのか、そのコンセプトがあってこその「レガシー」と感じるのですが、そのあたりはクリアになっているのでしょうか。

 

M:クリアにはなっていません。そういった意味で言うと、イスタンブールには大義がありました。「イスラム圏初開催」や「東洋と西洋の架け橋」のようなものです。それと同じくらい世界にインパクトを与えられる大義が東京にはありませんでした。

H:「なぜ2回目の東京オリンピックを開催するのか」ということを、明確にアピールできていないのが東京の最大のウィークポイントでした。最終的に残ったのが東京しかなかったのではないかと考えることもできます。2020年は2回目の東京大会ということで、成熟した都市でのオリンピックとしてどのようなコンセプトを掲げる必要があるのか、しっかりと議論しなければならないと考えています。

 

Q:1964年の東京オリンピックの「レガシー」はJOCで定義付けされているのでしょうか。

 

M:明確に定義付けされてはいませんが、お手元の資料に東海道新幹線の開通などがオリンピック・レガシーの例として書かれていますが、当時さまざまな物が作られました。我々の生活の身近なところで言うと冷凍食品が挙げられます。選手村で多様な食事を提供するために、長期間保存ができてすぐ食べられるようにする必要がありました。他にユニットバスも東京オリンピックの「レガシー」のひとつです。十分な数のバスタブを作る時間がなくて、それならプラスチックで成形した物をそのまま中に入れればいいのではないかと考えました。どちらも苦肉の策です。無形のもので言えば『ALWAYS3丁目の夕日』にも象徴されますが、国民の心の中に残っているものも沢山あると思います。

 

②「レガシー」を遺すための組織作り

H:では、河島さん。「レガシー」を考える前に2020年大会のことを考えてみたいと思います。

 

河島徳基氏(以下、K):そうですね。会場のみなさんは組織委員会の会長がどなたかご存知でしょうか。

 

M:早稲田大学OBの方です。

 

K:はい、そうです。森さんという方です。多くの方がご存知の通り御高齢の方です。「レガシー」ということを考えていく上では若い人もどんどん参画していかなければ何も残していけないと思っています。現状の運営形態として、ベテランの方が多く組織委員会の内部に入られているようですし、そこで遺すものを考えようというのも非常に難しいのではないでしょうか。2012年ロンドン大会の組織委員長は、40代のセバスチャン・コー氏でした。でも東京大会は80代の方が委員長を務めていることを懸念しているのですが、間野先生はそのあたりをどのように思われますか。

 

M:組織委員会は現在の180人から最終的に3000人まで膨らみます。局長級には50代、40代の方が多く入ってきているので、最初の立ち上げの部分は老齢な方々にお願いをして、軌道に乗りはじめたら若者たちに多くのチャンスが回ってくるのではないかと思います。

 

K:それを聞いて少し安心しました。

 

③バリアフリーについて

H:東さんはいかがでしょうか。

 

東俊介氏(以下、A):オリンピック・レガシーとは言いますが、もちろん2020年東京大会でもパラリンピックが開催されます。前回大会のロンドンと東京とを比べると、バリアフリーという環境があまり整っていないと思います。パラリンピックが東京で開催されるとなると、パラリンピアンや車いすを必要とする方が公共交通機関を使って移動する機会が増えます。世界最高峰のパラリンピアンによる大会を見るという経験によって、東京のバリアフリーが一気に進んだり、障がいを持つ人々に対する視点が少し変わったり、そういったちょっとしたこともしっかりと「レガシー」として残していくのが、最大の目標になるのではないかと個人的には思っています。

 

④アスリート目線の東京オリンピック

H:ありがとうございます。東さんはハンドボール元日本代表キャプテンをお務めでしたが、アスリートの目線から母国で開催されるオリンピックについて何かお考えはありますか。

 

A:実はハンドボール日本代表は1988年のソウル大会以来オリンピックに出場できていません。先日行われたアジア大会では、男子はアジアで9位でした。アジアでオリンピックに出られるのは1チームしかないので本来なら出場できないところ、2020年は自国開催ということで出場できると。しかし、次の大会ではおそらく出場できません。東京大会は出場できるからそれでいいという考えではいけないと思っています。

 

 

vol.3「形のないレガシー、形のあるレガシー」はこちら

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